幸福度調査で世界一となったことがあり、幸福度が高い国として知られているフィンランドですが、実は自殺率も高いということを知っていましたか?
なんと、世界の自殺率ランキングでフィンランドは10位となっています。
幸福の国なのになぜ?と思ってしまいますよね。
そこでなぜ、幸福度が高いにも関わらず自殺率も高いのか?その理由について探ってみました。日本はフィンランド以上に自殺率の高い国ですが、その理由は日本にも当てはまる事もありました。
興味のある方は是非、最後まで読んでください。
フィンランドは幸福度調査で世界一
フィンランド は幸福の国として有名です。その証拠は世界幸福度調査という国連の調査にあります。 毎年の調査でノルウェー・フィンランド・デンマークなどの北欧の国が上位に来ると いうのが恒例になっているんです。そしてその中の絶対的王者がフィンランドです。 なんと今年まで6年連続で1位に輝いています。ちなみに日本の順位はあまり良くなくて2024年のランキングは51位です。
ではここで国連がどうやって幸福度を調査しているのか少し解説しておきます。幸福度は6つの項目で計算されています。GDP・困った時に頼れる人がいるかどうか・健康寿命・人生の選択の自由さ・他人に対する寛容さ・そして腐敗の少なさです。日本 はGDPや健康寿命の点では優秀です。しかし人生の選択の自由や他人に対する寛容さの点で幸福度が下がっていると分析されています。ま、そう言われるとなんとなく納得できるのではないでしょうか。
ではそんな日本の生活と比べて北欧の生活と 聞くとどのような生活を思い浮かべますか?経済は豊かで人々はのんびりと悠々自適に暮らしている。生活支援も手厚い、多くの人がそんなイメージを持っているのではないでしょうか。
ここまでは幸福度調査の結果通りです。しかしそんな世界一幸福な国フィンランドはもう1つの意外な顔を持っています。それが自殺率の高さです。
フィンランドの自殺率はEUの平均以上です。さらに厚生労働省が作成した資料に よると世界の自殺率ランキングではフィンランドが10位に入っています。幸福度の低い日本で自殺率が第6位ということを考えると、これは意外な順位ではないでしょうか。また不思議なことに、同じ北欧の国も似たような結果が出ています。幸福度第3位の アイスランドは自殺率だと15位、幸福度第6位のスウェーデンは自殺率だと16位です。幸福度上位国が自殺率で上の方に来るこの矛盾は一体どうしてなのでしょうか?なぜフィンランドをはめとする北欧では 自殺が多いのでしょうか?
グリーンランドを例に考える自殺率が高い理由
フィンランドや北欧の国で自殺率が高いのはなぜなのか?
その理由を知るために参考になるある地域があります。それがグリーンランドです。世界最大の島でもあるグリーンランドは、デンマークに属しています。ですが正確には1つの国ではありませんから幸福度ランキングや自殺率ランキングには入ってきません。しかしグリーンランドは世界で最も自殺率の高い地域だと言われています。恐ろしいことに、なんと住民の5人に1人が自殺未遂を犯している という調査もあるほどです。
グリーンランドについて簡単に説明しておきましょう。
島の大部分は北極圏に属していて、大部分は氷に覆われています。人口はとても少なくわずか5万人ほどで、イヌイットという先住民族が人口の9割を占めています。さて グリーンランドではどうして世界一自殺率が高いのでしょうか?
原因は天気?
原因の1つ目は天気です。さすがに天気くらいで自殺する人はいないだろうと思うかもしれませんがこれが 馬鹿にならないんです。地球では北や南へ行けば行くほど夏と冬の日勝時間の偏りが 大きくなります。例えば日本でも冬は太陽の出ている時間が短くて夏は長いですよね。 この偏りが北に行けば行くほど大きくなるのです。これが北極圏ともなると、夏には1日中太陽が出ている白夜という時期があり、逆に冬には1日中太陽が出ない極夜という時期もあります。これがグリーンランドの自殺率に大きく影響しているとされています。
その様子を見てみましょう。まずは夏です。太陽がずっと出ていると元気になりそうな気もしますがそんなにうまくはいきません。というのも1日中太陽が出ていると、人間はよく眠れなくなるからです。多くの人が睡眠習慣を崩し最悪の場合は不眠症に悩まされます。寝たくても寝られないという状況が続くことはメンタルにもかなりの悪影響を与えます。今度は冬です。つまりグリーンランドでは1日中夜の時期です。これはご想像の通りですが太陽の光を浴びられないまま生活することになります。
もう一歩踏み込んで考えてみましょう。太陽の光を浴びると人間の体にはたくさんの良い効果があります。中でも重要なのがセロトニンの生成です。セロトニンとは幸せホルモンのようなもので、分泌されると心が満たされます。例えば、雲1つない晴れた空を見上げて、両手を広げて体いっぱいに日光を浴びると気持ちいいなと感じますよね。これははセロトニンの働き によるものです。さらにセロトニンにはもう1つ重要な働きがあります。それは夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンに変化してくれるというものです。そのおかげで体温や血圧が下がり、ぐっすりと眠れるようになります。つまり朝日光を浴びて生成されたセロトニンがあなたの1日に活力を与え、それが夜になると変化して今度はぐっすり眠らせくれるというわけなんです。
グリーンランドの冬では11月から1月 まで2ヶ月間も太陽が登りません。2月からは少しずつ太陽が出始めますが、北国の冬はずっと天気が悪いので、日光を浴びるチャンスというのはほとんどありません。するとどうなるでしょうか。幸せホルモンも足りていなければ睡眠ホルモンも足りない、どんよりとした気分で暗い1日を過ごし、夜になってもよく眠れない。次の日もまたその次の日も、太陽は登りません。これでお分りいただけたことでしょう。日光というのは人間のメンタルを大きく左右する要因になっているのです。実際に6月がグリーンランドで自殺者が特に多くなるという研究結果があります。6月は白夜の真ただ中、冬は太陽の出ない季節ということでしたよね。
さてここまではグリーンランドのお話ででしたが、フィンランドも同じ北国です。フィンランドの北部では白夜と極夜があります。南部にこそありませんが日勝時間の差が激しいという点では同じです。 フィンランドの自殺率の高さには気候が大きく影響していると考えられます。今日も 明日も太陽が登らない、そんな状況で過ごしていたらお酒でも飲んで発散するしかないでしょう。
原因はアルコール?
太陽が登らなくて気分が滅入ったり不眠になり、お酒で気を紛らわせる。
そうフィンランドやグリーンランドにおける2つ目の自殺理由は、アルコール中毒なんです。寒い国では体を温めるためにと、強いアルコールを飲むことがよくあります。実際に適度な飲酒は血流を良くしますし、気分を良くしたりリラックスさせる効果があります。しかしフィンランド人の死亡理由として、アルコール中毒は上位にランクインします。お酒を飲みすぎてしまうことで、アルコールに依存してしまい、やがて体や精神を壊したりその結果失業して家庭が崩壊したりと、苦しい環境に追いやられてしまうケースがあるんです。これも元をたどれば日光を浴びれないという地理的な要因から来るものだと言えるでしょう。
しかし、この後説明するもう1つの理由は地理的な要因に限ったものではなく私たち日本人にも深く関連する理由となってきます。
人間の孤立化
まとめ
幸せの国として知られるフィンランドが、実は自殺率も高い理由について探ってきました。
理由は、地理的なことから太陽が出ない時期はあるという天気に関すること、またそのために鬱や不眠症になりアルコールをたくさん飲んでしまうこと、主に都会では人間の孤立の問題があることがわかりました。
孤立という点では日本も当てはまりますね。
フィンランドも日本も、対策は行っているものの間に合っていないというのが現状です。
個人でも、自分のメンタルの状態を俯瞰的にみて、危ないと感じたら専門の相談先などを利用して、自分の命を救うような行動をできるようにしたいものです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
コメント